重巡洋艦 インディアナポリス
U.S.S Indianapolis
栄光の艦隊旗艦の悲運の最期
<使用キット>
T社 インディアナポリス
<実艦解説>
■華やかな艦歴
「インディアナポリス」は、1932年11月15日に竣工。
仮想敵国たる日本で続々と竣工する「妙高」級等の重巡に対抗し、砲力と装甲が重視され雷装は廃止されました。
竣工直後から、米大統領の外国訪問に使用されたり偵察艦隊の旗艦になるなど、華やかな任務が多かった「インディアナポリス」。
二次大戦においては、1942年〜1943年にかけてアリューシャン方面で活躍。1943年3月からは、米海軍最大、というより世界最大規模の第五艦隊旗艦となります。
以降、第五艦隊旗艦として、ギルバート諸島、カロリン諸島、マリアナ諸島、硫黄島、沖縄攻撃に参加。艦砲支援と対空戦闘が主で、華やかな水上決戦こそありませんでしたが、合衆国の反攻の尖兵として活躍しました。
1945年3月、日本機の攻撃で損傷した「インディアナポリス」は、米本土へ回航されます。
対空兵装やレーダーを強化されました。ただ、排水量に余裕が無いので、ボルチモア級等の新世代巡洋艦に比べると対空機銃の搭載数は控えめでした。
■運命の「黒い」糸
改装なった「インディアナポリス」は、サンフランシスコに回航され物々しく警備された荷物を積み込みます。
乗員達も中身は知らされず、「マッカーサー専用の香水付きトイレットペーパーに違いない」「高級将校用のワイン」などと言った冗談が飛び交いました。…その正体が、禍々しい悪魔の産物とも知らずに。
「インディアナポリス」は、その荷物を搭載後、テニアン島まで直行します。その速度は、戦前「オマハ」級が持っていたこの航路の記録を塗り替え、またも「インディアナポリス」に栄誉が増えました。
しかし、これが「インディアナポリス」が手にした最後の栄光になりました。
テニアン島で、件の荷物を降ろした後にレイテ島への回航を命じられたのです。
そして、7月30日の深夜、「伊58」潜水艦の魚雷攻撃を受け沈没。当時、犬猿の仲であった第五艦隊と第七艦隊との連携不足が原因で、その沈没は誰にも気づかれませんでした。
8月2日、哨戒機が偶然発見するまでに脱出した約800名は、鮫や消耗で316名に減っていました。
さらに、8月6日と9日。「インディアナポリス」が運んだウランを信管とする原子爆弾は、人類史上未曾有の惨禍をもたらします。
華やかな艦歴の重巡の最期は、黒く呪われた禍々しい悲劇で締めくくられたのです。
<模型解説>
昔、とある戦記漫画で最期を知ってから興味を持っていた「インディアナポリス」。条約型の米重巡としても、気になって製作開始。
T社だけあり、分割型の船体が苦労せずに綺麗に仕上がるのには感動します。
艦橋周りの整形にさえ気をつければ、サクサク組みあがります。
塗装は、デッキブルーとしてクレオス333、エクストラーダークシーグレー。
艦体は、同307、グレーFS36320とネービーブルーです。
■「インディアナポリス」と「伊58」
特攻兵器たる回天を使わず、通常の魚雷で攻撃した「伊58」。
人類初の核攻撃に加担した「インディアナポリス」
色々考えさせられる組み合わせです。
■「羽黒」と「インディアナポリス」
同世代の日本重巡と比べ、全長が短く重厚な印象があります。
「アイダホ」級戦艦と誤認されたというのも頷けます。
ちなみに、後方の「羽黒」は完成品を購入した物ですが、地震等により支柱が破損しています。
■要目
■排水量:11,180t(基)
■全長:186m
■全幅:20.1m
■出力:107,000馬力
■最大速力:32.7ノット
■乗員定数:1,199名
■武装:55口径20.3cm3連装砲3基、25口径12.7p単装砲8基、40mmボフォース機関砲24門、20mmエリコン機関砲16門