戦艦 リシュリュー
BattleShip Richelieu
悲運に翻弄された空の弓
<使用キット>
PT社 リシュリュー1946
<実艦解説>
「リシュリュー」は、ワシントン条約明けを見越して条約制限に囚われない戦艦として、フランス海軍により1935年に建造が開始されました。
艦の形状は「ダンケルク」型と同様に4連装の主砲塔を艦前部に集中し、主砲口径は38センチに拡大されました。フランス海軍特有の大装薬を用いた場合、2万m台ならば舷側装甲393mmを貫通できる強力な主砲でした。
防御も330mmもの装甲を船体内側に15度傾斜して装備するインターナル・アーマーを採用。さらに、水線下の防御は、多重隔壁と、エボナイト・ムースと呼ばれる弾力性充填材が注入され、魚雷に対する対策は欧州戦艦の中で最も進んでいました。
同時期に欧州で建造された「KGV」級、「ビスマルク」級、「ヴィットリオ・ヴェネト」級に比べ先進的な「リシュリュー」でしたが、多くのフランス製兵器と同様に武運に恵まれませんでした。
祖国フランスの降伏に伴い、1940年7月15日、工事未了のままアフリカのダカールに脱出。
そして、同年9月23日、フランス艦艇がナチス・ドイツの手に渡ることを怖れた英海軍と交戦します。「リシュリュー」は、二門しか稼動しない主砲で応戦、英戦艦「バーラム」に4発の命中弾を与え、英軍の上陸阻止に貢献します。
その後、連合軍に捕獲された「リシュリュー」は、米国で姉妹艦「ジャン・バール」の主砲と、米国製レーダーと対空火器を装備して竣工。1944年から、英極東艦隊の指揮下に入り、東インド諸島やビルマ攻撃に参加します。1945年には、日本重巡「羽黒」攻撃を命じられます。しかし、攻撃前に英駆逐艦に「羽黒」が撃沈され、ついに「リシュリュー」は枢軸艦と交戦すること無く終戦を迎えます。
その後は、インドシナ戦争に参加したり、フランス海軍の主力として活躍しますが、1964年に解体されてしまいます。
<模型解説>
PT社から発売ですが、製造はト○ン・ペ○ターです。ゆえに、バリやパーツ同士の干渉や隙間が多く、仮組みを入念に行いながら整形する必要がありました。
設定は1946年8月とし、webで見つけた写真を元に迷彩と機銃の配置を行いました。…「世界の艦船」シリーズの写真等を見ても、艦首の20ミリ機銃群は早々に撤去されているようです。また、マストの形状も疑問がありますが、今回はストレートに組みあげました。
塗装は、クレオスの明灰白色に若干青みを加えてアクセントを出した上に、ネービーブルーで迷彩。甲板は、最近デッキブルーの代わりに使用しているクレオス333番です。
多少苦労しますが完成してみると、同世代の戦艦よりも近代的なシルエットは魅了されるものがあります。
■仏独対決〜その1
リシュリュー級は、主砲を写真のように交互に上下させての斉射が可能でした。
なので、手持ちの戦艦で同様な動きが再現できる「ヴィータ」と組みあわせてみました。
架空艦と現実艦、交戦距離とか無理は承知ですが、中々ダイナミックな絵になります。
■仏独対決〜その2
「北海の白き姫君」VS「空の弓」。
もとい、「ティルピッツ」VS「リシュリュー」です。
両者の艦歴が、月姫のあの2人に似てると思ったもので。
…しかし、こうして見ると仏独の戦艦設計技術の差が見えますね。「リシュリュー」の方が近代的です。
■ポスト条約型戦艦
手持ちのワシントン条約後の戦艦を並べてみました。伊のヴェネト級が入れば勢ぞろいになるのですが、インジェクションで出る日は遠いでしょうね。
(2011年追記:ピットロードから「ローマ」「ヴィットリオ・ヴェネト」の発売が決定しました)
■要目
■排水量:47,548t(満)
■全長:247.80m
■全幅:33.02m
■出力:150,000馬力
■最大速力:30ノット
■乗員定数:1550名
■武装:45口径38cm4連装砲2基、52口径15.2cm3連装砲3基、45口径10cm連装高角砲6基、56口径40mmボフォース機関砲4連装14基、20mmエリコン単装機銃16門(推定)