重巡洋艦 鳥海
I.J.N chokai
戦場に立ち続けた頼もしい姉
<使用キット>
アオシマ社 鳥海〜レイテ湾作戦1944〜
<実艦解説>
「鳥海」は、高雄型重巡洋艦の4番艦として、1932年6月30日に竣工しました。
50口径20.3cm砲を連装5基備え、舷側に127mmの装甲を持つ、条約型巡洋艦の中でも重装備の艦でした。さらに、艦隊旗艦設備のために巨大化した城郭のような艦橋を大きな特徴としていました。
一方で、重心の高さや近接する前後マストの影響による通信能力の不足が問題視されはじめました。しかし、「鳥海」は他の姉妹艦と異なり、改装是正される機会は訪れませんでした。
■開戦
「鳥海」は、開戦当初小沢中将の南遣艦隊旗艦としてマレー攻略戦を支援。
翌42年4月、インド洋通商破壊作戦に参加し、商船2隻を撃沈。
7月、「鳥海」は新設された第八艦隊旗艦としてラバウルに進出します。
■ソロモンの凱歌
42年8月7日夜、ガダルカナルに上陸した米軍の迎撃に「鳥海」以下8隻は出撃。8日夜にサボ島沖で発生した第一次ソロモン沖海戦で、米重巡「クインシー」「アストリア」「ヴィンセンス」、豪重巡「キャンベラ」を撃沈。輸送船団を攻撃することなく去ったため批判されることもありますが、日本海軍の夜戦技量の高さを見せつけたこの戦いが米海軍首脳に与えた衝撃は大きなものがありました。また、装甲の薄い輸送船に20.3cm砲は有効でない場合が多く、攻撃してもさほどの効果が得られなかった可能性もあります。
その後のソロモンの戦いでも「鳥海」は活躍。第三次ソロモン海戦では、ガ島飛行場砲撃に成功しています。
また、1943年11月のラバウル空襲で、高雄型の姉妹が損傷する中、「鳥海」は無傷で切り抜けます。
■終焉
大規模な改装をする暇もなく、戦場に立ち続けた「鳥海」。電探の装備や、25mm機銃の増備など最小限の改装で44年のマリアナ沖海戦に参加。
44年10月のレイテ沖海戦に「鳥海」は、姉妹艦3隻と共に第四戦隊を編成して参加します。
しかし、パラワン水道で米潜の攻撃で「愛宕」「摩耶」が沈没し、「高雄」が大破後退。栄光の第四戦隊は解散してしまいます。
10月25日のサマール沖海戦では、「利根」や「羽黒」などと共に米護衛空母群へ突撃します。
この海戦の経緯は、対空輪形陣への移行中の統制のとれない突撃、スコール等の悪条件のため、よくわかっていません。「鳥海」を航行不能にした搭載魚雷の誘爆も、米駆「ジョンストン」によるもの、護衛空母「カリニン・ベイ」の艦載機によるもの、「大和」の誤射によるものと諸説あります。分かっているのは、「鳥海」が駆逐艦「藤波」の雷撃で処分され、乗員を収容した「藤波」も27日に空襲で沈没したために生存者がいないという事です。
<模型解説>
当初は限定版のアオシマの「鳥海〜レイテ湾作戦」を入手したので素組みで作るつもりでした。
しかし、船体の歪みを修正中に破損したため、現行品の「鳥海」を入手しての二個イチになりました。限定版の「鳥海」は羅針艦橋脇の見張所等に不備があり、現行品は遮風装置が無いなどの不備があるので、結果的にはちょうどよかったです。
25mm機銃は単装、連装ともにファインモールドの物を使用。配置場所は資料が少なく、推測が入っています。
発射管室に予備魚雷、艦尾にはエッチングの応急舵を装備。主砲の防水布は説明書の指示通りに、やすりで削って丸めました。
舷窓はパテで閉鎖して戦訓による閉鎖を再現し、外舷電路はエバグリのプラ棒です。
■右砲戦中の「鳥海」
列強巡洋艦の中でも砲塔数が多いので、旋回させると凄みがあります。
■要目
■排水量:11,500t(基)
■全長:201.7m
■全幅:18.9m
■出力:130,000馬力
■速力:35.5ノット
■乗員:760名
■兵装:50口径20.3cm連装砲5基、45口径12cm単装高角砲4門、61cm連装魚雷発射管4基、25mm連装機銃8基、25mm単装機銃22基(最終時)