戦艦 ティルピッツ

K.M.S Tirpitz
北海の白き姫君


 <使用キット>
 ピットロード 「ビスマルク級」

 









<実艦解説>
 「ティルピッツ」は、1941年2月25日に、ヴィルヘルムスハーフェン海軍工廠で竣工しました。ベルサイユ条約破棄後の、英国との海軍条約の基づいて建造された「ビスマルク」級戦艦の2番艦でした。しかしながら、条約の制限の基準排水量35,000トンを大きく上回る42,900トンの欧州最大の戦艦でした。

 ■「千年城」へ
 宿敵のイギリス海軍戦艦を圧倒という空想を具現化した存在として期待された「ティルピッツ」ですが、41年5月27日に「ビスマルク」が撃沈されてしまいます。
 そのため、41年中はバルト海での訓練に費やした後は、ノルウェー海域に進出します。
 ソ連への貸与物資を運ぶ船団を狩るためです。
 しかしながら、燃料不足や上層部の温存策のために出撃の機会がなかなか訪れないまま、フィヨルドでの待機が続きます。白黒の鮮やかな迷彩を施され、城壁のようなフィヨルドに停泊する姿は、千年城の中で白いドレス姿のまま鎖で繋がれた姫君を連想させるのがありました。事実、「北海の女王」という称号を得てます。

 ■PQ17
 ソ連への軍事支援船団は、ドイツ海空軍の増強にともない、次第に規模を拡大していきます。
 「ティルピッツ」は何度か船団攻撃に出撃しますが、北海の劣悪な気候条件もあり会敵が叶いませんでした。1942年7月5日にも出撃しますが、船団に会敵できずに帰投。
 しかし、この「ティルピッツ」出撃の報はPQ17船団を恐慌状態に陥らせ、船団の解散に追い込みます。その結果、護衛が手薄になった船団は甚大な被害をうけます。「ティルピッツ」は、そこにいるだけで戦力を吸引する「現存艦隊」としての意義を発揮したのです。

 ■スピッツベルゲン島砲撃
 バレンツ海海戦での失敗の結果、1943年1月25日に、ヒトラーは大型艦の活動停止を命じます。「ティルピッツ」は、対ソ支援船団への対抗上残されましたが、水上艦艇の乗員達の士気は低下。
 この士気を盛り上げるため、ノルウエー北方の連合軍気象観測所のあるスピッツベルゲン島砲撃が計画されます。
 1943年9月6日夕刻。「ティルピッツ」は「シャルンホルスト」と護衛の駆逐艦を連れ、アルテンフィヨルドを出撃。
 
 
























 8日早朝に、スピッツベルゲン島沖に達した「ティルピッツ」は、ついに敵に向かって砲撃を開始。
 
























 …これが、「ティルピッツ」が敵に向かって砲撃した唯一の作戦となりました。

■終焉
 ノルウェーでにらみをきかす「ティルピッツ」を脅威に感じた英海軍は、執拗な攻撃をかけます。
 そして、1944年11月12日。英空軍の持つ、当時最高の「神様だって殺せる」ような貫通性能を持つ6tの爆弾「トールボーイ」により転覆。
 「北海の女王」はついに姿を消したのでした。

 <模型解説>
 以前に作った「テルピッツ」はドイツ艦を作り始めた頃に作ったため、塗装や仕上げに不満がありました。今回、木甲板シートが手に入ったことにより、新たに作ってみました。
 PTの「ティルピッツ」は現在流通せず、「ビスマルク」級にパーツが同梱される形になってます。エッチング付とはいえ、割高感はあります。
 今回は、PTの塗装指示は疑問があるため、海外サイトなどを参考にライトグレー(324)にジャーマングレー(40)で迷彩を施しました。
 木甲板シートは微調整する必要もなく、ぴったりと貼れるので、満足度は抜群です。
 以前に作った「テルピッツ」は、こちら

■同世代艦との比較
 軍縮条約明け後の建造された、似たスペックの米仏伊の戦艦との比較。「ティルピッツ」は一回り大きいのが特徴になってます。

























 ■要目(1943年)
 ■排水量:42,900t(基)
 ■全長:250.5m
 ■全幅:36.0m
 ■出力:138,000馬力
 ■最大速力:30ノット
 ■武装:52口径38cm連装砲4基、55口径15cm連装砲6基、53.3cm魚雷4連装発射管2基、65口径10.5cm連装砲8基、83口径37mm連装高角砲8基、20mm機銃78門

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