駆逐艦 ヴァンパイア
H.M.A.S. Vampire
東奔西走のベテランメイド
<使用キット>
タミヤ社 ヴァンパイア
<実艦解説>
「ヴァンパイア」は、1917年9月にイギリス海軍のアドミラルティV級駆逐艦の1艦として完成しました。偵察艦とも呼ばれるドイツの大型駆逐艦に対抗して建造された、当時としては強力な駆逐艦です。その後の英国駆逐艦の範となるクラスで、WWT後に英国から各国に輸出された駆逐艦も本クラスに類似したものが多いです。
1933年10月、「ヴァンパイア」は同級艦の「ヴェンデッタ」「ボヤージャー」と共に、新設間もないオーストリア連邦海軍に移管されます。既に老朽化してたため一旦予備役になりますが、二次大戦勃発に伴い地中海に派遣されます。
そこで船団護衛や哨戒を行います。特に、1941年4月のギリシャ撤退作戦、5月のトブルクへの輸送作戦で活躍しました。
この間、老朽化による速力低下から対潜、対空任務に役割をシフトさせた「ヴァンパイア」は、魚雷発射管を下して対空兵装を強化しています。
6月になると、日本軍の脅威の高まりから極東艦隊に配属になります。
■マレー沖海戦
12月8日、日本は開戦と共にマレー領コタバルに上陸開始。これを迎撃するための戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」、巡洋戦艦「レパルス」を主力とするZ部隊の1艦に「ヴァンパイア」がいました。
12月8日17時に出撃したZ部隊は、日本艦隊の捕捉に失敗。10日昼に、日本第11航空艦隊に発見されたZ部隊は、陸攻隊の集中攻撃を受けます。「プリンス・オブ・ウェールズ」は、弱点であった推進軸からの浸水が原因による戦力低下、舵機故障により集中攻撃を受け、14時50分に沈没。「レパルス」も当初は巧みな回避で逃れますが、左右同時雷撃を受け、14時3分に沈没しています。
この時、「ヴァンパイア」は「レパルス」乗員225名の救出に成功しています。
■老兵の死〜セイロン沖海戦
オランダ領東インド諸島の陥落後、「ヴァンパイア」はセイロン島で再編成された英東洋艦隊に合流します。
増援を受け、戦艦5隻、空母3隻を中心とした有力な艦隊になっていた東洋艦隊は、脅威となっていたいたため、日本海軍は南雲機動部隊を派遣します。暗号解読に成功していた英軍ですが、戦力の集中に失敗。コロンボ、トリコマリー港へ空襲を受けます。
空母「ハーミス」と共にトリンコマリーを脱出していた「ヴァンパイア」は、「榛名」の索敵機に捕捉されます。そして、艦爆隊の集中攻撃を受け、「ハーミス」と共にインド洋の波間に消えました。
<模型解説>
「ヴァンパイア」が、旧式駆逐艦ながら西に東に奮闘した艦であることを知ってから、興味がわき制作を開始しました。
キットはタミヤ製なので、洗浄やすり合わせの必要もなくすんなりと組み立てられます。
ただ、キット自体は英国から譲渡された1930年代の仕様のようなので、簡単な改造が必要です。
オーストラリア海軍の公式HP等を参考に、後部発射管を撤去して20mm機銃座に。高角砲座には、O級から流用のポムポム砲を搭載。
メインマストは撤去されていたようなので、つけませんでした。
塗装は、船体をクレオス338と、軍艦色とデッキブルーを混色した物で迷彩。甲板は、クレオス331です。デカールは、キットのものが剥がれてしまったこともあり、O級から流用。この際、資料からDをIに変更しました。
■要目(1933年時)
■排水量:1,316t(基)
■全長:95.1m
■全幅:9.3m
■速力:34kt
■乗員:115名
■兵装:45口径10.2cm単装砲4基、7.6cm単装高角砲1基、53.3cm3連装魚雷発射管2基